チーズ会社の
「マゼラーティ博物館」


2004.3.5

「マゼラーティコレクション」
Maserati Collezione


「パルミジャーノ・レッジャーノ」、いわゆる、パルメザンチーズを生産する オーンブレ Hombre という会社が、モーデナの近郊にあります。
オーガニックのチーズを作る牧場は、イタリアで7ヶ所しかないと言われているのですが、ここはその中でも、最もイタリア的な良い仕事を実現している所。
牛たちは、ここで出来た穀物や草だけを食べて成長します。そして、その環境で育った牛のミルクのみを使ってチーズが作られるという、完全なクローズドサイクルが貫ぬかれているのです。
少量生産ながら、スローフードや自然食品への志向が高まっている事もあり、世界的にも、オーンブレのチーズは注目を集めているようです。

そんな オーンブレの敷地内にあるのが、コレクション ウンベルト・パニーニ と呼ばれる マゼラーティの博物館!!
モーデナの宝物
[QuickTime (3.76MB)]
サッカー場が、すっぽりと入ってしまう位に広大なフロア。個人所有のモノとは、とても想像出来ません!

ここには、スーパーカー世代の夢見る私にとって、憧れの懐かしいマゼラーティが、何台もあるのでした!!

右は、コレクションの中で最も古い車、ティーポ6CM-1500
この車は、1936年製で、当時のレースで大活躍した名車!

クラッシック・マゼラーティに混じって、なんと、バイクまでも展示されていました!


左は、1963年デビューのミストラル 右は、ジウジアーロの手による66年のギブリ
ミッドエンジンの赤いボーラと、シトロエンSM用のエンジンが載せられた黄色いメラク
ワンメイクレース用に作られた、92年のバルケッタと、96年のギブリカップ

2階の回廊部分には、貴重なバイクの数々が、所狭しと並べられています。
オーナーのウンベルト・パニーニさんは、1954年、彼が24歳の時に、ベネズエラへ出稼ぎに旅立ち、そこで、バイクなどを修理する機械工として 働いていました。

一方、彼のお兄さんであるジュゼッペ・パニーニさんは、サッカー選手や車の写真をステッカーにして販売するビジネスをイタリア国内で成功させ、機械に詳しい弟の帰国を待ち望んでいました。
そして、弟・ウンベルトは、その兄の期待に応え、「異なるステッカーを、一度で6枚1組にする機械」を考案し、2人で共に財を成していったのです。
しかし、その後1989年には、ステッカー事業をあっさりと売却し、何と、「趣味で続けていた牧場仕事を、本業にしてしまうというウルトラ技」 を実現させ、今に至っています。

そもそも博物館を始めるきっかけとなったのは、1996年の、フィアットによるマゼラーティの買収。
この時、マゼラティを身売りしたアレッサンドロ・デトマゾは、貴重なコレクションを、一括して競売に掛けようとしていました。
そんな一大事に待ったをかけたのが、その直前に他界した兄の意志を受け継ぐ ウンベルト その人だったのです。
「モーデナの街を愛し、モーデナの人々の事を想っての、偉大な道楽!」
この粋なおじいちゃんは、今日もまた、本物のチーズを作り、街の宝物を守り続けるのでした!


[HOME]