マントヴァの宮殿
「パラッツォ・デル・テ」


2002.8.29

愛と欲望の「テ宮殿」 Palazzo del Te

ミラノから、鉄道で約2時間、ヴェローナからだと、約45分の、ヴェネト州寄りにある マントヴァ Mantova

14世紀、ゴンザーガ家が、この地を支配するようになると、ルネッサンス文化が花開き、繁栄の時を迎えます。
15世紀後半から16世紀初頭には、そのゴンザーガ家のフランチェスコ2世と結婚した、イザベッラ・デステが、芸術振興政策をとり、芸術の都として名を轟かせていきます。
それ故、マントヴァは、北イタリアの文化の中心となり、街には、多くの歴史的建造物が建てられました。
その頃の時代を映し出し、偲ばせる、もの凄い建物が、マントヴァの南に、残っています。
時の権力者で、イザベッラ・デステの息子である、フェデリーコ2世が、愛人と過ごすために建てたと言われる、訳ありの館、テ宮殿(Palazzo del Te)

あのラファエロの弟子だった、ジュリオ・ロマーノが設計し、10年もの歳月をかけて創り上げられた、ギミック満載の建物なのです。
当時の流行であった「マニエリスム」と呼ばれる、だまし絵の技法がふんだんに使われ、随所に、いろいろな建築の仕掛けが施されています。
愛と欲望の「テ宮殿」
[QuickTime (2.06MB)]

なかなかお目にかかれない、ラファエロジュリオ・ロマーノの原画展覧会が、ここで催されると聞きつけて、早速、訪ねてみました。

ラファエロ・サンツィオ
Raffaello Sanzio (1483〜1520)
レオナルド・ダ・ヴィンチとミケランジェロの強い影響を受け、美しい色彩の、写実的な絵画を生み出した。 ルネッサンス期を最も象徴する画家である。
ジュリオ・ロマーノ
Giulio Romano (1492〜1546)
ラファエロの死後、その未完成だった作品を仕上げる。絶大なる人気を博した建築家。


マントヴァで活躍する、画家のロベルトさんに、案内と解説をお願いしました。

ロベルトさんいわく、
「ラファエロの今回の原画を目の当たりにするのは、なかなか珍しく、取材映像に収めるのも、初めてになると思う!」
「ジュリオ・ロマーノ、ゆかりの地で開かれる展覧会に、イタリア各地から、たくさんの人達がやって来たよ!」


「ここは、馬の間(Sala dei Cavalli)と呼ばれる最大の部屋で、幸運のシンボルである馬が描かれている。」

「マントヴァは、もともと名馬の産地で、客を迎え入れる最初の部屋として相応しいんだ。」



「巨人の間(Sala dei Giganti)は、壁と天井の境目がないように、部屋一面に、巨人たちの姿が描かれている。」

「巨人族の崩壊の物語であり、権力者の栄華と欲望の崩壊を、ジュリオ・ロマーノは表現したんだ。」

テ宮殿で開かれていた、ラファエロとジュリオ・ロマーノ展では、国宝級の絵画が、惜しげもなく飾られていました。 聖母子像は、ヨーロッパのキリスト教国では、最も愛される宗教画のテーマで、出展数も多かったようです。

今回は詳しく触れませんでしたが、このテ宮殿では、人間の退廃的な欲望渦巻く、筆舌に尽くし難い出来事が多々起きていたそうです。
この宮殿に入ったとたんに、波のように押し寄せてくる、ある種の感情。まさしくそれは、欲望を掻き立てる「媚薬」のようなものなのかもしれません。
(やや、こじつけに近いのですが、上下のムービーに、私のオリジナルで、「媚薬」という曲をあててみました。実は私、ミュージシャンでもありました。)

「テ宮殿」を巡る!
[QuickTime (5.76MB)]